──炭素取引制度と排出量開示が企業経営をどう変えるか
2026年から、日本では脱炭素社会の実現に向けた新しい取り組みが本格的に動き始めます。
その中心となるのが、
- 炭素取引制度(排出量取引制度)
- 企業の温室効果ガス排出量の開示
の2つです。
これらは一部の環境分野だけの話ではなく、企業経営・投資・サプライチェーン全体に関わる重要な制度となります。
1. なぜ今「炭素」に注目が集まるのか
地球温暖化への対応は、すでに“社会的責任”という段階を超え、
事業の持続性・財務リスクの管理というテーマに移りつつあります。
- 気候災害の増加
- 資源・エネルギー価格の変動
- 世界的な規制強化
これらの影響は企業活動に直接波及し、
**「どれだけCO₂を排出しているか」**が企業価値に影響する時代になりました。
2. 2026年から本格化する「炭素取引制度」
炭素取引制度とは、
企業が排出できるCO₂の量に上限を設け
その枠の中で「削減した分を売る」「不足分を買う」仕組み
のことです。
● ポイント
- 排出量に経済的価値(価格)がつく
- 削減努力が収益機会にもなり得る
- 過剰排出はコストやリスクとして顕在化
つまりCO₂は、
単なる「環境データ」ではなく、経営資源・リスク要因として扱われます。
3. 企業に求められる「排出量の開示」
2026年以降は、上場企業を中心に
- 自社の排出量(スコープ1・2)
- サプライチェーンを含む排出量(スコープ3)
- 気候変動が財務に与える影響
を投資家向け情報として開示する流れが加速します。
特に重視される点
- 数値の透明性
- データの信頼性(第三者保証など)
- 経営戦略との接続(目標と投資計画)
単なる環境報告ではなく、
「炭素情報=投資判断に資する経営情報」
として扱われることが特徴です。
4. 炭素会計が企業経営にもたらす変化
炭素取引制度や排出量開示の進展により、企業経営は次のように変わっていきます。
● 経営面
- CO₂排出量がコスト構造に影響
- 設備投資の判断に炭素価格を考慮
- 高排出設備の資産価値見直し
● 事業面
- 省エネ・再エネ投資の加速
- 低炭素製品・サービスへの転換
- 取引先にも脱炭素対応を要請
● IR・評価面
- 投資家の重視点が「利益」+「炭素リスク」へ
- ESG評価だけでなく移行リスク耐性が問われる
5. 企業にとってのチャンスと課題
▷ チャンス
- 省エネ・再エネ投資による競争力強化
- 低炭素技術・サービス市場の拡大
- 透明性の高い開示による企業価値向上
▷ 課題
- データ収集・算定体制の整備
- サプライチェーン排出量(スコープ3)への対応
- 社内の会計・環境・経営部門の連携強化
6. 私たち企業は何に取り組むべきか
2026年以降は、
- 排出量を測る
- データを開示する
- 排出を実際に減らす
という三つの取り組みが不可欠になります。
特に重要なのは、
「測れる体制づくり」から「減らせる事業づくり」へ
と発想を転換することです。
まとめ
2026年から始まる制度は、
- CO₂排出量に価格がつく
- 排出量が投資判断に直結する
- 環境と財務が一体で評価される
という、大きな社会的転換点を示しています。
脱炭素は「環境活動」ではなく、
企業価値と競争力に関わる経営課題です。
当社も引き続き、
- 省エネルギーの推進
- 再生可能エネルギーの活用
- 排出量の透明な開示
を各方面に働きかけ、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

