2025年時点で見えてきた「洋上風力発電」の現実
― 期待と課題を冷静に整理する ―
再生可能エネルギーの切り札として期待されてきた「洋上風力発電」。
海の上に巨大な風車を建て、安定して電気を生み出す――そんな未来像が語られてきました。
しかし2025年現在、その理想と現実のあいだには、無視できないギャップが見え始めています。
ここでは、洋上風力をめぐる現実を ①コストと撤退、②社会的意義、③リスク の3つの視点から、できるだけ分かりやすく整理します。
① コストと撤退
「思った以上にお金がかかる」現実
洋上風力が直面している最大の問題は、コストの高さです。
海の上に巨大な設備を建てるには、
・大型の基礎構造
・特殊な作業船
・過酷な海洋環境に耐える設計
・長距離の送電設備
など、陸上の発電所とは比べものにならない費用がかかります。
実際、日本では 大手商社が進めていた洋上風力事業から撤退する事例 が出ました。
理由は単純で、「当初の想定より建設費が大きく膨らみ、採算が合わなくなった」ためです。
制度上は「安い価格で電気を供給できる事業者」が選ばれてきましたが、
その価格は 資材高騰や人件費上昇、円安 といった現実を十分に織り込めていませんでした。
結果として、
計画は立派だが、続ければ赤字になる
という状態に陥る事業が現れ、撤退や見直しが起きています。
② 社会的意義
「理想は正しいが、万能ではない」
洋上風力の社会的意義そのものが否定されているわけではありません。
・CO₂排出を減らす
・化石燃料への依存を下げる
・国内でエネルギーを生み出す
こうした目的は、今も非常に重要です。
ただし問題は、洋上風力が「何でも解決してくれる切り札」として語られすぎてきたことです。
風力発電は、
・風が弱ければ発電量が落ちる
・天候による変動が大きい
・電気をためる仕組みが必要
という特徴があります。
つまり、原子力や火力のように「常に一定量を供給できる電源」ではありません。
2025年時点では、
洋上風力は重要な選択肢の一つだが、
それだけに頼るのは現実的ではない
という、より冷静な見方が広がりつつあります。
③ リスク
海の上ならではの危険と不確実性
洋上風力には、見えにくいリスクも存在します。
■ 建設現場の安全リスク
中国では、風力発電設備の建設中に 足場が崩れ、作業員が死亡する事故 が発生しました。
巨大設備を高所で組み立てる作業は、それだけ危険を伴います。
■ 巨大化する設備の信頼性
近年は、発電量を増やすために 1基あたりの風車がどんどん巨大化しています。
しかし中国では、世界最大級の風車で 羽根が破損する事故 も起きています。
「大きくすれば効率が上がる」一方で、
「構造的な限界や想定外のトラブル」も増える可能性があります。
■ 政策・政治リスク
さらに、洋上風力は 国の政策に強く左右される事業です。
海外では、政権交代や安全保障上の理由で、計画が急に止まる例も出ています。
長期間・巨額投資が前提の事業だけに、
途中でルールが変わるリスク は決して小さくありません。
まとめ
2025年時点で見えてきた冷静な評価
洋上風力発電は、
✔ 脱炭素に貢献できる重要な技術
✔ 将来性が完全に失われたわけではない
一方で、
・想定以上に高いコスト
・撤退が現実に起きている
・安全・構造・政策面のリスク
といった 厳しい現実 もはっきり見えてきました。
これから求められるのは、
「夢のエネルギー」として持ち上げることではなく、
長所と限界を理解した上で、
他のエネルギーとどう組み合わせるかを考えること
ではないでしょうか。
洋上風力は「希望」ではありますが、
冷静な現実認識なしに進めれば、社会的コストを増やす可能性もある技術です。

