2023年振り返り(エネルギー編)

最新のエネルギー事情

2050年カーボンフリーに向け世界が動いている。燃料、発電、蓄電の新技術、特に注目すべき点をリサエネおじさんなりに振り返ってみた。

燃料

2023年燃料で最も話題になったのは、やはり「ドリーム燃料」。過去のブログでも取り上げたが、空気中のCO2とラジカル水と種油で種油と同様な燃料が精製でき、なんとコストが11円~14円と流通している燃料と比べ1/10で済む。正に夢のような燃料として1月発表されSNSで秋口から話題が沸騰した。12月にはドリーム燃料製造システムの説明会も予定されてたようだが、主催者の都合で中止、クラウドファンディングで2億円を集めようと頑張っていた方も、全額返金するとのコメント有り。夢で終ってしまうのか「ドリーム燃料」2024年もその動向に注目。

ドリーム燃料も「合成燃料」となるが、世界的に注目を集めて研究されている「合成燃料(e-fuel)」人工石油がある。これは工場などで排出されたCO2を回収し、水素と化学合成させ石油を生成する技術。既にENEOSやトヨタなど実用化しているが、商用化には至っていない。販売するとなると1ℓ600円から700円といった価格となり、製造過程でコストが掛かりすぎる問題を抱えている。2035年燃料エンジン車のみの新車販売0を政府が掲げているが、EUでは合成燃料の使用に限り燃料エンジン車を認めるといった動きもある。

発電

発電の技術も日進月歩で多くの投資が行われている。注目すべきは太陽光発電の「ペロブスカイト太陽電池」が注目される。架台に固定したり、屋根に固定する従来の太陽光発電パネルではなく、厚さ1mmほどのフィルム型太陽電池。軽量で曲げることも可能で、建物の壁面や構造物の曲面、重い架台では設置できなかった屋根など設置個所の選択肢が広がる。耐久性の改善、コスト低下が今後進めば早い段階で普及可能。技術的には建造物全体が発電することも可能だが、想像するに太陽光の反射で外気温がかえって温められヒートアイランドに拍車をかけたり、眩しさで事故が起きたり、梅雨などの長雨があると極端に電力不足になったり、様々な問題点も出てくるような気がする。

原子力発電について先日のCOP28でアメリカが2050年までに発電容量を現在の3倍にする発言を受けたからか、国内での柏崎刈羽原発の停止が解除された。原子炉が有る以上、利用してもしなくてもリスクは変わらないので稼働した方が良いとされる論調もあるが、私個人的には、再生可能エネルギーの普及をすすめ、原子力発電に頼らない社会構造を造り、原子炉は廃炉に向かう事を願う。そんななか核融合発電なるものの研究もすすめられてる。海水の重水素をつかうとのこと、原子核の合体で大きなエネルギーを放出する。原子力発電に使う核分裂反応とは違って暴走事故が起きにくく、安全性が比較的高いとされる。研究動向に注目したい。

バイオマス発電については、木質バイオマス発電所で火災や爆発の記事が目についた。地域住民に不安視されないよう、メタン発酵発電とともに、安全第一で普及に努めて欲しい。

蓄電

2023年エネルギー界での話題は「全固体電池」。いよいよ具合的な発売や自動車への投入時期までも見えてきた年だった。従来のリチウムイオン電池は電解質に液体が使われているのに対し、電解質が個体である。このことによ「全固体電池」は低温から高温まで耐えられる。高温に強い為、急速充電が可能。電解質が固体の為、寿命が長い。小型化・薄型化しやすく、形状の自由度が高い。量産化しコストが下がれば、普及に加速がつくのではと期待。

全樹脂電池」も注目しているが、メディアやSNSの露出は少ない。電解質が液体でなく固体でもない、樹脂で出来ている。そのため形状の自由度が有り、「全固体電池」と同等の性能をもつため、よりも身近なものになる可能性があると、私は見ている。

発蓄消元年

再生可能エネルギーで発電、電力会社に売電(FIT制度)することで、設備投資資金の回収を行い、稼働停止中の原子力発電や化石燃料由来の火力発電所の新設停止を補ってきたが、残念ながら電気料金がどんどん高騰する中、売電価格は下がっている現状。売電期間も10年から20年と既に期日を迎えている事業もある。そこで発電した電気を電力会社に売電するのではなく、発電しダイレクトに使用する動きが出てきた。そこで発電と使用には時間差が生じる事がある為、蓄電池の重要性が増してきた。電、電、費(発蓄消)の必要性が注目を集めた2023年だった。発蓄消がトレンドとなる様、2024年以降もコンサル、普及活動に努めていきたい。

地球温暖化対策、カーボンフリー、SDGSが唱えられ、様々な産業がこの課題に取り組む一方、これまで携わっていない方々と話をしても、大変な温度差を感じる。資源リサイクル、再生可能エネルギーの意義など普及に2024年も務めて参ります。人々が手した物から再ENERGY(リサエネ)実現に向け。

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