日本列島は熱波に覆われ、40度を超える地域が連日出るほどである。また空梅雨による水不足が深刻で節水をする地域や田畑の水を確保する為、ポンプで揚水を余儀なくされる地域もあり、秋の収量の低下も懸念される。さらに雨不足の乾燥した状態で山火事などの発生も深刻である。地球温暖化による気候変動が原因として挙げられるが、ここでは温室効果ガス排出以外の人間活動が、熱波に影響を与えている事を考察。
エアコン使用による廃熱
エアコンは屋内を冷やす代わりに、屋外に熱(潜熱・顕熱)を放出します。冷房機のコンデンサーからは高温の空気が絶えず吐き出され、都市の気温を局地的に上昇させることが知られています。昨今は熱帯夜も多く命の危険が有るため一日中フル稼働のご家庭も多いのでは。ペットを飼ってらっしゃるお家では外出時でもエアコンの電源は落とせません。
都市部では、夏期の夜間の気温が近郊に比べ2~4℃高いことが観測されており、エアコン廃熱がその要因の一つと考えられます。その他エネルギー消費量の増加も引き起こし、結果的に火力発電などでさらに温室効果ガスを増やす悪循環となります。そこで再生可能エネルギーのソーラー発電での電力供給をすれば、発電時には温室効果ガス排出が無いことから普及が進められています。
ソーラー発電パネルの発熱
前項で温室効果ガス削減の為に、発電時には温室効果ガスを排出しないソーラー発電の普及が進められてるとしましたが、熱波に対する影響について考えてみます。実は太陽光パネルは、入射する太陽エネルギーの約15〜20%しか電力に変換できず、残りの80%以上が熱として周囲に放出されます。パネルの表面温度は夏場で60〜75℃にも達し、住宅密集地やビルの屋上、空き地の集中設置によって、都市部における人工的な“熱源として熱波に影響を与えている。昨今ではZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)とし、再生可能エネルギーにより外部電源を必要としない建物が推奨されていますが、同時に廃熱を抑える工夫も必要ではないかと考えます。
森林伐採によるメガソーラー開発の影響
メガソーラー=森林伐採ではない(ゴルフ場跡地や工場跡地、耕作放棄地、池や湖にも)が、植物が生い茂る環境を取り戻せる土地に大規模なソーラーパネルを敷き詰めると、黒く吸熱性の高いパネルが広範囲に設置されるため、最大で周辺より+3〜5℃の上昇が報告される地域もある。その上、植物の太陽エネルギーを光合成・蒸散で吸収・拡散し、地表温度の上昇を抑える効果を阻害しているとすれば、メガソーラーの熱波への影響も見逃せない。その他、ソーラーパネル周辺では、植物が育ち太陽光を遮断しなよう、防草シートや砂利を敷き詰め除草剤を散布するなど、その他の影響も懸念される。
自動車使用・アイドリングによる排熱
熱中症の危険がる為、外出時徒歩や自転車を避け、自動車で出かける機会が多くなるのではないかと考える。自動車のエンジンは熱効率が30%程度と低く、70%以上のエネルギーが熱として排出されます。さらにアイドリング状態では、移動せずに排熱と排気を続けます。空気全体への直接的な温度上昇は小さいものの、車両密集地では、排熱と排ガスによる局所の熱蓄積により、歩行者の体感環境は深刻に悪化します。ヒートアイランドの一つの要因といっても過言ではない。一方、内燃機関を持たないEV(電気自動車)車での排熱はガソリン車の1/5〜1/10程度と言われる。廃熱抑制の観点からはEV普及が待たれる。
総合的な考察
2025年夏の異常な熱波に対して、温室効果ガスの蓄積による地球規模の気温上昇が根底にあるものの、国内レベル・地域レベルでは「人間活動による局地的な熱放出」が明確に重なり合い、熱波を増幅・持続させていると考えられます。
気象オタクのおじさんコメント
温室効果ガスによる気候変動以外に、今回のような人間の活動が直接的な気温上昇に影響を与えている事を認識しなければならないと思います。
この夏の40度超の熱波記録は、京都府、兵庫県、群馬県、広島県など、どこもヒートアイランド現象(都市部などの局所的な熱環境)とは無縁の場所だが、共通している地形は盆地で熱がこもりやすい場所ともいえる。広島県安芸太田町 加計では広島市街地からの風によりフェーン現象ではないかと推測。
現在の気象データの観測地点は、基本的に百葉箱(地表から1.2m~1.5mの高さに設置され、直射日光や照り返しを避け、風通しの良い場所を選ぶこと。また、扉は北向きに設置し、白く塗装された二重の鎧戸で構成され、底面と天井はすのこ張りになっている必要がある)の観測で発表を行っているが、名古屋気象台は名古屋市街地から東側の丘陵地(標高約50m)に位置する。ヒートアイランド現象が人の命に係わる事を考えれば、名古屋駅、栄、金山といった観測データの公表も行うべきではないかと思う。この様な発表で人々が温暖化対策や、ヒートアイランド対策など知恵を絞って工夫する事が非常に大切であると考える。