電池といえば、身近なマンガン乾電池、アルカリ乾電池、ボタン電池など、使い切ったら捨ててしまうものを「一次電池」といい、消費すれば充電し繰り返し使用できるものが「二次電池」と言われる。
ここでは開発が進む二次電池の現状と近未来の情報を提供します。
二次電池の種類
ニッケル・カドミウム充電池は100年以上前に発明された電池で、繰り返し充電し使用できるが、電池残量があるのに、追加充電してしまうと、「メモリー効果」が起こり、充電量が減ってしまうデメリットが有る。充電負荷に強く、コードレス電話や電気髭剃りなどに使われている。この電池は使用されている電化製品を分解しなければ見ることができない。実はカドミウムが人体に害があるため電池だけ単独で販売されることはない。近年使用は減っている。
ニッケル水素電池は前述のニッケル・カドミウム電池の有害なカドミウムを使用しない蓄電池で、充電と放電の速度と電力量が改善され、近年ではハイブリットカーにも使われている。「メモリー効果」はあり、使用しないで放置すると放電してしまう欠点もある。
鉛蓄電池は最も古い蓄電池で150年以上前には開発されて、現在も自動車のアクセサリーバッテリーとして多く使用されている。「メモリー効果」がなく繰り返し使用できる。ただ充電しないで放電、使用を繰り返すと元に戻らない事が有る(いわゆるバッテリー上がり)。寒冷地では使用している液体が凍って発電しなくなる(寒冷地仕様がある)欠点もある。
リチウムイオン電池は「メモリー効果」などがなく、さらに小型で軽く、高い電圧を供給できる。近年主力ともいえる蓄電池。前述のニッケル水素電池の約3倍の電圧に蓄えることができる。安全の為、電圧の管理が必要なのと強い衝撃で発火のリスクがある。
NAS 電池は大規模電力貯蔵できる日本初の蓄電池。メガワット級の電力大容量で貯蔵できる上、鉛電池の約3分の1のサイズを実現、長期間の安定した電力供給が可能です。しかし作動温度が300度に温度を維持する必要があること、またナトリウムや硫黄が危険物として指定されていることから、 取り扱う上での安全確保や事故発生時の対策が大きな課題。都市型の固定施設で大容量の蓄電としてメリット。
燃料電池
燃料電池はこれまでの充電する蓄電池ではなく、燃料となる水素と酸素を供給し続けることで、電力を作ることができる理想的な発電システム(発電機内蔵)。騒音や振動を抑えられ、環境を汚染する物質も生み出さない。トヨタ自動車製造の「MIRAI」がその代表格。しかし水素供給のインフラが進んでいないことで、燃料電池搭載の車の普及には繋がっていない。また一般家庭住宅に普及しているパナソニックのエネファームは、水素を作り出すため家庭に供給されている、ガスを水蒸気改質法による「改質」により水素を生成させている。「改質」に使うガスには、炭素を含んだ化石資源からの改質であるため、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)が発生。その為グリーン水素の供給が待たれるが、インフラ整備には時間とコストが掛かりるため、爆発的な普及に繋がるかは考えにくい。
近未来の蓄電池
全個体電池は、リチウムイオン電池の欠点(発火リスク・負荷耐久性に問題)を補うために研究開発が行われている最も期待されている蓄電池。その実現にトヨタ自動車、村田製作所、ホンダ、パナソニック等の大手が多額の資金を投じ研究開発を行っている。しかし未だに課題解決には至ってない。ここではその課題について詳しく述べないが、2025年にはトヨタ自動車が見切り発車で課題を先延ばしして搭載車を発表するか、あるいは全個体電池の前に、次に述べる画期的な蓄電池を搭載し実用化するか私は注目している。
全樹脂電池は福井県のベンチャー企業、APB株式会社(2018年10月設立)が開発した世界初の蓄電池。安全性、低コスト、形の自由度、大型化など、全個体電池と同等かそれを上回る性能を持つ画期的な発明。既に定置用を中心に量産体制は進んでおり、2025年には900億円の売り上げを見込んでいる。
このような画期的な蓄電池が研究開発される背景は、2050年カーボンフリー実現に向け各産業が本気で取り組んでいる結果である。
今回のテーマ蓄電池は、再生エネルギーを効率よく使うためには最も要となるもので、恐らくこの全樹脂電池がリチウムイオン電池をオセロゲームの様に塗り替えていくのではないかと考えます。
自家発電、自家使用から、自家発電、自家蓄電、自家使用(発蓄消)の時代到来
9月13日から15日 第20回 SMART ENERGY WEEK【秋】が幕張メッセで行われ、エネルギー関連の会社500社が出展。情報収集に行ってきます。