前回に引き続き気候変動による冬場の気象現象で特に注意が必要な事について解説します。地球温暖化がジェット気流(偏西風)の流れ方を変えている影響と考えられています。蛇行したジェット気流が、強い寒気を南へ運んできたり、逆に暖かい空気を北まで押し上げたりすることで、極端な寒暖差が起きやすくなっています。
その結果、日本の冬は次のような現象が起こりやすい季節になりつつあります。
- 一気に降り積もる豪雪
- 低気圧通過で急に春のように暖かくなる
- 融雪による雪崩や洪水のリスク上昇
- 太平洋側の極端な乾燥と山林火災
- 春先の融雪早期化 → 夏場の水不足への不安
極端化する気象にどう備え、どう適応するか
ここからは、それぞれを分かりやすく解説していきます。
① 一次的な「ドカ雪」が起きやすい理由
日本海の海面水温 × 上空の寒気の組み合わせ
日本の豪雪は単なる「たくさん降る雪」ではありません。
実は、
日本海が比較的暖かい + 上空に強い寒気が南下
この「温度差」がポイントです。
- 日本海から水蒸気が供給される
- 寒気の影響で雲が急発達
- 山沿いを中心に一気に大雪
となります。
✔ 暖かい海 × 強い寒気 = 雪雲製造マシンがフル稼働
これが短時間での豪雪につながります。
※「昨日まで雪がなかったのに一晩で大雪」も、このタイプです。
水分を含んだ重たい降雪が多くなります。こまめな雪下ろし、雪かきが必要 ※雪国にお住いの方々にとっては大変な事です。
② 急に暖かい南風が吹き込む日がある理由
発達した低気圧が北日本を通過すると…
冬なのに「コートがいらないくらい暖かい日」がありますね。
この背景には、
発達した低気圧が北を通る → 南風の空気が日本列島に流れ込む
という流れがあります。
特に日本海側では、
フェーン現象が発生
- 南からの湿った空気が山を越える
- 上昇時に雨や雪を降らせ水分を失う
- 乾いた空気が下降して「温度が上昇」
結果として、
👉 日本海側で異常な高温
👉 雪が一気にドサッと融ける
融雪洪水・土砂崩れ・山体崩壊など注意が必要。融雪水の導線を確保。
③ 融雪とセットで考えるべき「雪崩」の危険性
温暖化で「雪崩リスク」も高まると言われています。
特に覚えていただきたいのが、
雪崩には 2 種類あります
■ 表層雪崩(ひょうそうなだれ)
- 新しく降った雪だけが滑る
- 比較的スピードが速い
- 新雪や吹き溜まりの直後に発生しやすい
👉 豪雪の直後が危険
特に一旦温かくなり雪の表面が融けた後の積雪時は特に注意・・・・スキー場などでも発生リスクあり、立ち入らない事が一番。
■ 全層雪崩(ぜんそうなだれ)
- 地面から雪の層ごとズルッと動く
- 水がしみ込んで雪が重くなると起きる
- 春先や融雪期に多い
👉 暖気・雨・フェーン現象の後が危険
「暖かくて安心」と思った時ほど危険なのが雪崩の特徴です。
山間部・斜面・沢沿い・道路脇などでは十分な注意が必要です。
④ 太平洋側は逆に「極端な乾燥」へ
山を越えた風は乾く → 火災のリスク
冬の太平洋側が晴れやすいことはご存じの方も多いでしょう。
しかし最近は、
- 湿度が極端に低い
- 風が強い
- 空気が暖かい日も多い
これが重なることで、
👉 山林火災が発生しやすい環境になります。
「雨が少ない冬」「雪が少ない冬」は
同時に火の取り扱いに要注意の冬でもあります。
⑤ 早まる融雪 → 夏の水不足につながる可能性
春の雪解けはダムと山の「天然の水がめ」
本来、山に積もった雪は
- 春〜初夏にかけて少しずつ融ける
- 川やダムの水を安定供給
- 夏場の渇水を防ぐ役割
を担っています。
しかし、
- 春先が異常に暖かい
- 融雪が一気に進む
- 雪解け水が短期間に流れ出す
となると、
👉 山間地の保水力が低下
👉 夏に水が足りなくなるリスク増大
も懸念されます。
まとめ
極端な「寒暖差の冬」に備えるという発想へ
地球温暖化だから「暖冬」――
実はそんな単純な話ではありません。
✔ 豪雪
✔ 急な高温
✔ 融雪・雪崩
✔ 乾燥・山林火災
✔ 夏場の水不足懸念
これらはすべて一本の線でつながった現象です。
「寒い冬」と「暖かい冬」を行ったり来たりする
これが今後の日本の冬のキーワードになるかもしれません。
気象おたくのリサエネおじさんからのお願い
- 大雪の後の山間部は雪崩に注意
- 乾燥した日の屋外での火の取り扱いに注意
- 気象情報・注意報・警報をこまめにチェック
- 「いつもと違う冬」を前提に生活を
自然現象そのものは止められません。
しかし知って備えることは、誰にでもできます。
