― 気象オタクのリサエネおじさんが考える、2026年冬の現在地 ―
はじめに|「寒いのに、冬らしくない」時代
2026年1月下旬、日本列島にはいわゆる**「鍋底寒波」**と呼ばれる強い寒気の南下が予想されています。最低気温は氷点下、各地で大雪の懸念もあり、「今年は本格的な冬だ」と感じている方も多いかもしれません。
しかし、気象を長く見てきた立場から言うと、今の日本の冬は
寒いけれど、かつての冬とは明らかに違う
そんな質的変化の中にあります。
その象徴が、かつて当たり前だった冬の風物詩が次々と姿を消していることです。
1. 失われた冬の風物詩たち
● 湖上ワカサギ釣りという文化
かつて日本各地では、冬になると湖や池が全面結氷し、
- 氷に穴を開けてワカサギを釣る
- 湖上に小屋が立ち並ぶ
という光景が見られました。
しかし現在、多くの湖で
- 氷が張らない
- 張っても薄氷で危険
という理由から、氷上ワカサギ釣りは事実上消滅しています。
代表的な例
- 諏訪湖(長野県):結氷自体が稀に
- 霞ヶ浦(茨城県):関東の「凍る湖」は過去の話
- 山中湖(山梨県):高標高でも成立しない年が増加
これらは、単なるレジャーの変化ではなく、冬の環境そのものが変わった証拠です。
2. その象徴が「諏訪湖の御神渡り」
失われつつある冬の風物詩の中でも、特に象徴的なのが**諏訪湖の御神渡り(おみわたり)**です。
御神渡りは、諏訪湖が全面結氷した後、昼夜の寒暖差によって氷が割れ、せり上がる現象です。単なる自然現象ではなく、
- 室町時代から約500年以上
- ほぼ途切れることなく記録
されてきた、世界的にも貴重な気候の記録でもあります。
かつては「毎年のように見られる」存在でしたが、近年では
起きればニュースになる“例外的な現象”
へと変わってしまいました。
3. 御神渡りが見られなくなった背景
① 環境面の要因(地域の問題)
戦後、諏訪湖周辺では
- 人口増加
- 観光・工業化
により、長年にわたって生活排水が流入してきました。
その結果、
- 湖水温が下がりにくい
- 冬でも湖が冷え切らない
状態が続き、全面結氷が起こりにくい湖になっていきました。
現在は水質改善が進んでいますが、湖は一度蓄えた「熱の記憶」を簡単には手放しません。
② 地球温暖化という構造的要因
もう一つ、より大きな要因が地球温暖化です。
御神渡りには、
- 氷点下が長期間続くこと
- 安定した厳冬
が不可欠ですが、近年の冬は
- 寒波は来る
- しかし数日で緩む
という不安定な寒さが主流になっています。
「寒い年がある」ことと、「御神渡りが起きる」ことは、 もはやイコールではありません。
4. 2026年1月21日からの鍋底寒波でどうなるか
今回予想されている寒波は、
- 強い冷え込みが長期的となりそう
- 風が穏やかな日もある
と見られています。
この条件では、
- 湖面の部分結氷から全面氷結の可能性あり
- 湖全体が厚く凍る可能性あり
- 御神渡りが出現
可能性は極めて低いが期待をしたい。
仮に御神渡りが出現した場合、2018年2月以来8年ぶりとなります。
しかし
「温暖化が止まった証拠」ではなく、 自然が見せた極めて例外的な現象
として受け止める必要があります。
5. 気象オタクのリサエネおじさんとして伝えたいこと
御神渡りや氷上ワカサギ釣りの消失は、
- 数字
- 専門用語
よりもずっと分かりやすく、気候変動を私たちに伝えています。
冬は来ている。だが、かつての冬ではない。
脱炭素やエネルギー転換は遠い話に聞こえるかもしれませんが、 それは確実に
- 湖の凍り方
- 季節の風景
を変えています。
おわりに
もし将来、御神渡りが「当たり前の冬の風景」に戻る日が来るとしたら、 それは
- 地域の環境を守り
- エネルギーの使い方を変え
- 気候変動を食い止めた
その結果でしかありません。
失われた冬の風物詩は、未来からの警告。
気象オタクのリサエネおじさんとして、これからも季節の変化を、皆さんと一緒に見つめていきたいと思います。

