International Energy Agency=IEA(国際エネルギー機関)では9月26日はCO2(二酸化炭素)排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」に向けたシナリオの更新版を発表
IEAとは
29の加盟国が、その国民に信頼できる、安価でクリーンなエネルギーを提供するための諮問機関。IAEAのような国連の組織とは無関係。西側諸国が殆どで、インド、中国、ロシアなどは加盟していない。
9月26日発表の内容
産業革命前と比べた気温の上昇幅を1.5度に抑えるという目標のためには世界が急いで団結する必要があると強調した。1.5度目標を実現するためには、クリーンエネルギーへの世界の年間投資額を30年代初めまでに倍増させ、すべての国がネットゼロの達成期限を前倒ししなければならない。CO2回収、有効利用、貯留の技術や水素ベースのエネルギー、バイオ燃料の開発も、30年までに急ピッチで進める必要があるという。
具体的には
先進国は35年までに22年比で80%、途上国は60%削減する必要があると指摘。実質ゼロの目標を「ほぼすべての国が前倒しする必要がある」とした。日本などが掲げる2050年を前倒しし、先進国は2045年にすべきだとした。さらに世界最大の排出国である中国を名指しし、現在掲げている2060年の実質ゼロではなく2050年までの達成を求めた。
日本は
環境省と国立環境研究所によると、2021年度の温室効果ガスの排出・吸収量は11億2,200万トン(二酸化炭素(CO2)換算)で、前年度比2.0%(2,150万トン)の増加となり、2013年度比では20.3%(2億8,530万トン)の減少となったと発表している。今回のIEAの要求によれば、先進国は2035年までに2022年比で80%削減する必要があるとしている。日本の2022年の具体的な温室効果ガスの排出・吸収量の具体的な数字は、まだ未発表だが、2021年の80%削減するとなれば、あと12年で9億トン近く削減するとなる。このペースなら2045年までにCO2排出0となる。
今回のIEAの更新は
産業革命前と比べた気温の上昇幅を1.5度に抑えるという目標に対して各国にCO2削減のプロセスの前倒しを要望する形だが、これに対し各国がどのような削減方法で加速させるのか注目したい。安易に原子力発電の増設などといった発想にならないよう我々は監視しなければならい。