サーキュラーエコノミー食品編食品から肥料へ、そして再び食卓へ
― 本当のサーキュラーエコノミーは“土”から始まる ―
■ 日本の農業が抱える静かなリスク
私たちが毎日口にする野菜や米。
その成長を支えているのは「肥料」です。
しかし日本の農業は、
肥料原料の多くを海外に依存している(地政学リスク)という現実があります。
- リン鉱石の多くは海外産
- カリ原料も輸入依存
- 化学肥料価格は国際情勢で高騰
食料安全保障を語るなら、
肥料安全保障も同時に考えなければなりません。
■ 実は、養分は国内にある
私たちは毎日、
- 食品を食べ
- 食品を廃棄し
- 排水を流し
- 家畜を飼い
その結果、大量の有機物が国内で発生しています。
例えば:
- 農業残渣(収穫後の茎葉)
- 食品廃棄物
- 家庭残飯
- 下水汚泥
- 家畜糞尿
これらは「廃棄物」と呼ばれていますが、
本質的には栄養のかたまりです。
■ メタン発酵という循環のハブ
これらの有機物は、
メタン発酵によりエネルギーを生み出すことができます。
その代表例が、
Anaerobic digestion(メタン発酵)です。
工程はこうです:
- 有機物を発酵槽へ
- 微生物が分解
- バイオガス発生(発電利用)
- 発酵残渣(消化液)が残る
重要なのは④です。
この消化液や堆肥には窒素・リン・カリが含まれている。
つまり、
エネルギーを生みながら、肥料も生み出す
という二重の循環が可能なのです。
■ 食品が、再び食品を育てる
この液肥や堆肥を農地へ戻すことで、
食品 → 廃棄物 → 発電 → 液肥 → 農地 → 食品
という完全循環が成立します。
これはまさに
食品版サーキュラーエコノミーです。
海外から化学肥料を買い続ける構造から、
地域内で養分を循環させる構造へ。
それは、
- 脱炭素
- 資源安全保障
- 地域経済活性化
すべてに貢献します。
■ しかし前提条件がある
ここが最も重要です。
この循環は、
「人々の理解と分別」
がなければ成立しません。
① 分別の徹底
- 異物混入
- プラスチック
- 有害物質
が混ざれば、液肥の品質は下がります。
循環は「信頼」で成り立ちます。
② 農薬依存の見直し
もう一つ重要なのは、農政の方向性です。
化学肥料と農薬に強く依存する農業構造では、
土壌微生物が弱り、循環型農業は定着しにくい。
極力農薬を抑え、
- 土壌を育てる農業
- 微生物を活かす農法
- 有機資源を活かす設計
への転換が求められます。
■ サーキュラーエコノミーは“意識経済”
サーキュラーエコノミーは、
設備や技術だけでは実現しません。
- 消費者の理解
- 生産者の意識
- 行政の制度設計
- 企業の責任
すべてが噛み合って初めて動きます。
循環とは、
「捨てる社会」から
「戻す社会」への意識転換
です。
■ 株式会社リサエネの提言
私たちは考えます。
食品循環は単なる廃棄物対策ではなく、
「地域主権型の食とエネルギー戦略」
であると。
もし地域内で
- 食品残渣が回収され
- エネルギーを生み
- 肥料として戻り
- 地元農産物が育つ
ならば、
それは単なる環境政策ではなく
地域の独立性を高める経済モデルです。
最後に
私たちの食卓は、
世界の資源に依存しています。
しかし本当は、
私たちの足元に循環の種はあります。
その種を育てるのは、
技術ではなく
私たち一人ひとりの理解と選択です。
次回は鉱物編
