円安懸念

リサエネおじさんのつぶやき

34年ぶりの一時160円(対ドル)を付けた為替相場。私なりに輸出産業、消費者、国、労働者の影響を整理してみた。どうも日銀により為替介入(ドルを売って円を買う)があったとされ155円台に変動した。

輸出産業(メイドインジャパンの大安売り)

クオリティーの高い日本製は世界中の人々が認めていると言っても過言ではない。その日本の製品やサービスが、海外の通貨で決済する事により、割安感が生まれている。例えば日本円500万の車が為替相場が対ドル100円時は5万ドルで販売。為替相場が対ドル160円とすると3万1250ドルとなる。更に物価上昇、賃金上昇、高金利の海外消費者にとっては、円安によりクオリティーの高いメイドインジャパンを安く手に入れる事が出来る。よって円安により、割安感のある日本製の販売は好調となる。海外向けの製品を生産する企業にとっては売上アップ。

売上がアップすれは相対的に利益計上額が増えると思われるが、原材料やエネルギー輸入に頼っている多くの製造業企業にとっては円安により原材料や生産経費上昇で売り上げは好調だが経常利益は今一つ。

消費者(国内収入国内消費)

日本国内で賃金を得て国内で消費する人々にとっては、円安による更なる消費者物価の上昇に苦しむ事になる。生活必需品の食品やエネルギーは、輸入依存度が高い為、円安による影響が大きい。輸出産業に従事する従業員の多くは、賃金上昇が報道されている。国内販売をメインとする製造業の従事者の賃金上昇は見込めず更に生活が苦しくなる(実質賃金の目減り)

消費者(インバウンド)

2024年3月の訪⽇外客数は、3,081,600人となり、前年同月比では69.5%増、2019年同月比では11.6%増となったと統計データが出ている。円安により、旅費や宿泊に割安感があるため訪日海外旅行者が増えている。訪日者対象に商売をしている、旅行業者、宿泊施設、サービス業、物販業者などは、値上げをしても需要が有るため利益率アップが見込める。

消費者(不動産投資家)

過疎地や観光地、メガソーラー用地、高額なマンションなど、海外投資家達の不動産取得が増えている。円安の影響も後押ししていると考えられる。日本の切売りに対し地元住人とのトラブルや治安、安全保障上の問題意識が足りないような気がする。

様々な観点から円安に対し検討をしていると思う。いつも急速な円安、円高には懸念を発表し、市場をけん制する報道がある。円高においては日本の基幹産業である自動車を中心とした輸出産業を守るために積極的な為替市場介入をする。この円安状況下では、前述の産業は売上アップとなるためなのか、積極的市場介入は、深刻な懸念を示さない。私なりの見解だが、円安の影響で、物価の上昇が見込める事=消費税の税収が増える。インバウンドで海外旅行者が増え消費が増える事で、免税商品以外の需要に対し消費税の税収が増える。輸出産業中心に企業収益が増えれば、法人税や関税の税収が増える。このような観点からは、政治介入は後ろ向き

労働者

消費者物価が上がる一方、賃金の値上げが追い付いていない現在、給与所得者にとっては可処分所得減少で、貧困者も増加傾向。また日本の製造業やサービス業、土木建築業、介護事業では、外国人の労働力に頼らざるを得ない状況。この外国人労働者にとっては同様に可処分所得は減少しているにも関わらず、本国に送金している人も少なくない。これも円安の影響で円を自国通貨にすれば、以前よりもかなりの目減りする。このままの状況が続けば外国人労働者に日本離れが起こり、国内の労働力不足に陥る可能性がある。

総括

「有事の円買い」と言われ安全通貨として存在感のあった円だが、ウクライナ、イスラエル、イランと有事が有っても、円高に振れず円安のまま。積極的な金利上昇にシフトしない日本円、やはり米ドルの金利が魅力なのか

輸出品については、メイドインジャパンの安売りにならないよう販売価格を上げて利益を従業員に還元し可処分所得上昇に貢献。海外からの旅行者に対する物販は販売価格を2割~3割程度高く販売し従業員の賃上げに充てる。外国人旅行者向け免税制度の一時撤廃。外国人の不動産取得に対して、高額な税負担や法律でガードが必要。

エネルギーや食糧の輸入依存からの早期脱却。その為には、国内の再生可能エネルギー中心により様々なエネルギー政策を前倒し。農産物生産者の補助事業の拡充。耕作放棄地の農地再利用。

円安はメイドインジャパンの安売り。同時に日本の労働力の安売りとなる。国民がそんな問題意識を持って為替を考え政治を考える機会とすれば痛みも解消に向かうのではないか

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