先日、台風3号がフィリピン、台湾に多くの雨をもたらし洪水被害が報道された。また中国、インド、北朝鮮でも洪水被害が報じられている。日本でも東北地方を中心に線状降水帯の影響で豪雨災害が発生。温暖化の影響か、夏の高気圧と大陸の高気圧のせめぎ合いが例年より北部で続いた結果である。大量の流木が海岸線を覆いつくしているとの報道もあり、海岸線を持つ自治体や漁業関係者の方々に被害が拡大する懸念がある。
海洋ゴミは何処へ
フィリピン、台湾で発生した洪水で大量のゴミが河川から海へ流れ出たと想像できる。太平洋側に流れ出たゴミは、水分量の多い物や比重の重い物は、海底に沈み、発泡スチロール、プラスチックや空気の入ったペットボトルなどは海流に流され海に漂う。黒潮から対馬暖流に乗れば、九州の西海岸から日本海に入り、北寄りの風に流され大量に日本海の海岸線に打ち上げられる。一方黒潮本流に乗ると太平洋を東進し風向きによっては太平洋沿岸に漂着し、多くは太平洋をハワイ諸島の方に向かう。
ゴミの処分は
海岸線に打ち上げられたゴミの処分は、自治体、漁業関係者や民間団体、ボランティアの方々により回収されて、その海岸線を持つ自治体が処分をしている。今回の洪水被害により大量に漂着すれば、それだけ各方面に労力と費用負担が掛かる。国に予算で地域環境保全対策費補助金といったものは有るが十分ではなさそうだ。厄介なことに、海水に浸ったゴミを処分する際に塩分を取り除く必要がある。単純に焼却処分でも焼却場の鉄材が腐食し耐久性が落ちる。リサイクルするにしても、混在する様々な漂着ゴミを分別し洗浄しなければリサイクル困難だ。
新しい破砕分別機械に期待
破砕機械メーカーを展示会度に訪れ、この海洋ゴミの破砕分別が出来ないかを聞いて回っているが、破砕する歯や回転軸など様々な所で鉄材を使用している為、海洋ゴミは無理だと言われ続けた。前回の展示会で、ステンレス製なので塩分が含まれたゴミでも洗浄しながら破砕分別可能とのメーカーが有った。今後この様な海洋ゴミの処分を効率よく破砕分別が可能となり、リサイクル、エネルギー抽出が可能となれば日本の海岸線は宝の山となるかも。その為には、移動式の破砕分別機械が在ればと考える。海洋ゴミと離れるが、能登半島地震で、解体が決まっている家屋が放置されているとの事。移動式の破砕分別機で金属、プラスチック、ガラス、有機物の分別が出来れば、各専門のリサイクル業者が喜んで運び出すと思う。
海洋ゴミのリサイクル
リサイクル新法(2022年)により、埋め立て、焼却処分が多かった海洋ゴミもリサイクルや資源化の取組が見られる。プラスチック等を細かく砕き高温で処理しペレットを作る又は型に入れ製品化する取り組み。回収した海洋ゴミの内、プラスチック等を高温分解し、水素や二酸化炭素、アンモニアにリサイクルする取り組みや、ガス化高温溶融炉で可燃性ガスを取り出し、発電や燃焼補助として利用する取り組みもある。廃プラからガス化炉で分解しメタノール合成する技術も有るようだ。
ゴミを海に流さない
日本では多くの人や事業者がモラルをもって不要物をゴミとして手離すとき、しかるべき方法で処分を委ねている。それがリサイクルや資源化又は焼却、埋め立て等で管理されている。残念ながらポイ捨ても目立つ。大型車が休憩するような路肩の有る場所には、レジ袋に入ったゴミ(包装袋、缶、ペットボトル等)がポイポイ捨てられてあったり、信号待ちの交差点近くの路肩に同じように捨てられてあるのをよく見かける。街中では路上喫煙が禁止されている事も有り、たばこのポイ捨ては極端に減ったが、車からのポイ捨ては未だに見受けられる。これら手放したゴミはゲリラ豪雨などがあれば、たちまち河川に流れ、海へと運ばれる。ゴミは手放すのではなく、管理して手離せば、海の汚れは少しでも改善される。
今後も海のゴミ問題については、事あるごとに触れたい。