6月5日は「世界環境デー」。これは、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された「国連人間環境会議」をきっかけに制定された、地球環境に対する関心を高め、持続可能な社会を築くための行動を促す国際的な記念日です。地球規模での気候変動や環境破壊が顕著になってきた今こそ、改めて私たち一人ひとりが向き合うべきテーマです。
このブログでは、地球環境の変化とその要因、今後のリスク、そして持続可能な未来へ向けた社会の取り組みと、私たちにできる行動について提議します。
地球環境の変化と化石燃料の大量消費による課題
地球の気候は、長い地質学的スパンの中で自然な変動を繰り返してきました。しかし、産業革命以降、特にここ150〜200年の間に人類の経済活動は急速に拡大し、これまでの気候変動とは異なるスピードと規模で環境に影響を与え始めました。
18世紀後半、イギリスに始まった産業革命により、石炭を始めとする化石燃料がエネルギーの中心に据えられ、機械化と大量生産が進展しました。20世紀には石油・天然ガスの利用が加わり、交通、発電、製造業などあらゆる産業が化石燃料に依存する構造へと変わっていきました。
この「エネルギー革命」の裏側で、人類は膨大な量の温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO₂)を大気中に排出し続けてきました。その結果、大気中のCO₂濃度は産業革命前の約280ppmから、現在では420ppmを超える水準に達しています。これは過去80万年間で例のない高濃度であり、地球全体の気候システムに大きな影響を与えているとされています。
温室効果ガス排出による地球環境の変化と今後のリスク
温室効果ガスは、大気中に蓄積されることで地球表面からの赤外線を吸収し、熱を逃がしにくくする働きを持ちます。これ自体は自然な仕組みであり、地球の生命にとって不可欠な機能ですが、過剰に蓄積された場合には「地球温暖化」を引き起こします。
この温暖化によって、すでに様々な変化が観測されています。
- 気温の上昇:地球全体の平均気温は20世紀末から21世紀初頭にかけて約1.1℃上昇しており、特に極地ではその影響が顕著です。
- 海面上昇:南極やグリーンランドの氷床が溶けることで、世界の海面は20世紀より平均で約20cm上昇しています。これは沿岸地域や小島嶼国に深刻な影響を及ぼします。
- 異常気象の頻発:熱波、豪雨、干ばつ、台風の巨大化などが世界中で頻発し、人的・経済的被害が増加しています。
- 生態系への影響:気温や海水温の変化により、生物の生息域や繁殖パターンが変化し、生物多様性が損なわれています。
このまま温室効果ガスの排出が続けば、21世紀末までに平均気温はさらに1.5〜4.5℃上昇すると予測されています。これは気候の暴走を引き起こし、人類の経済活動や生活、食料安全保障に計り知れない影響を及ぼすリスクがあります。
温室効果ガス削減に向けた社会的な取り組み
こうした状況を打開するために、国際社会は様々な取り組みを進めています。
・パリ協定(2015年)
パリ協定は、気温上昇を産業革命以前に比べ「2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求する」ことを目標とした国際合意です。各国は自国の温室効果ガス排出削減目標(NDC)を設定し、5年ごとに進捗を報告・見直すことが求められています。
・再生可能エネルギーへの転換
太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーの導入が世界中で進んでいます。技術革新とコスト低下により、脱炭素社会への実現可能性が高まりつつあります。
・カーボンプライシング(炭素価格付け)
排出量取引制度(ETS)や炭素税の導入により、CO₂排出に対してコストを課す仕組みが整備されています。これにより企業や消費者の行動変容を促し、低炭素型の経済モデルを促進します。
・グリーンファイナンス
環境配慮型の投資を促進するため、ESG投資(環境・社会・ガバナンス)やグリーンボンド(環境プロジェクト向け債券)が普及しています。金融市場もまた、持続可能な社会づくりの重要なプレーヤーとなっています。
2050年カーボンフリー社会に向けて、私たちにできること
2050年までにカーボンニュートラル(実質的な温室効果ガス排出ゼロ)を実現することは、多くの国が掲げる重要な目標です。しかし、これは政府や企業だけで達成できるものではなく、私たち一人ひとりのライフスタイルの変革も不可欠です。
● エネルギーの選択
家庭で使用する電力を再生可能エネルギー由来に切り替える選択が可能です。多くの電力会社がグリーンプランを提供しており、個人でもカーボンフットプリントを減らせます。
● モビリティの見直し
自動車の利用を減らし、自転車や公共交通機関を活用する。可能であれば、EV(電気自動車)やカーシェアを選ぶことも選択肢です。
● 食生活の改善
畜産業は温室効果ガスの大きな排出源の一つ。地産地消、植物性食品の増加、食品ロスの削減といった行動も温暖化対策に寄与します。
● リユース・リサイクルの習慣化
大量生産・大量消費の社会から脱却し、循環型社会へとシフトするためには、製品を長く使うこと、リサイクルを徹底することが求められます。
● 環境教育と意識の共有
子どもたちへの環境教育を充実させること、また大人も持続可能な選択を日常的に意識することで、社会全体の環境感度を高めることができます。
結びに
気候変動は、もはや未来の問題ではありません。私たちが今ここで行う選択と行動が、数十年後の地球を形づくります。世界環境デーという節目に、地球の未来を思い、私たち自身の暮らしを見直すきっかけを持ちましょう。 一人の100歩より、100人の一歩が社会を変えます。カーボンフリーに向けて人類の総力を挙げて取り組みましょう。