昨今、メガソーラーに対する各方面での批判が強く、メディアでも取上げられるようになりました。メガソーラーの効果と課題を整理した。
ソーラー発電の効果(メリット)
- 脱炭素化への貢献
- メガソーラーは再生可能エネルギーの代表格であり、稼働中はCO₂をほとんど排出しません。
- ただし、ソーラーパネルの製造・輸送・設置・廃棄過程ではCO₂排出があります。最新のLCA(ライフサイクルアセスメント)では、一般的な石炭火力に比べ10分の1以下のCO₂排出量に収まるとされています。(製造から廃棄までのCO2排出量は発電量にもよりますが、おおよそ2~3年で回収可能)
- エネルギー自給率向上
- 日本は化石燃料輸入依存度が高いため、太陽光発電はエネルギー安全保障に寄与します。日本のエネルギー自給率2022年で12.6%で、その内訳として再生可能エネルギーが8.3%を占めています。
- 発電コストの低下
- 太陽光は技術進展と普及によりコストが大幅に下がり、長期的には最も安価な電源の一つになりつつあります。
- 地域経済への波及効果
- 設置や維持管理による雇用創出、遊休地の活用なども効果として挙げられます。
メガソーラー課題(デメリット)
- 植生破壊と生態系への影響
- 森林伐採や草地改変によって、生物多様性が損なわれるケースがあります。
- 特に大規模造成により野生動物の生息地が失われる懸念があります。
- 保水力の低下と河川氾濫リスク
- 樹木伐採や土壌の固化によって、雨水の貯留機能が損なわれ、局所的な洪水リスクを高める可能性があります。
- 地下水・伏流水への影響
- 水が地中に浸透しにくくなると、地下水の涵養(かんよう)不足を招きます。
- 河川や海に供給されるミネラル分の減少により、水生生物や漁業資源に間接的な影響を及ぼす可能性があります。
- パネル表面の温度上昇(ヒートアイランド効果)
- 太陽光パネルは光を吸収して熱を持ちます。周囲の気温上昇や微気候変化が懸念されています。(夏場の暑い時期のパネル表面温度は60℃~80℃になる時も)
- 光害(反射光の影響)
- 強い反射光が発生する場合、鳥類の飛行行動や昆虫の誘引に影響を与えることがあります。
- 周辺住民への眩惑や景観問題も課題です。
- 発電地と消費地の乖離
- 山間部などで発電しても、大都市に送電するには大規模な送電網が必要。送電ロスや設備投資がデメリットとなります。
- 廃棄物問題
- 設置から20~30年後に大量のパネル廃棄が発生。リサイクル体制の整備が遅れている点も大きな課題です。
- 開発業者や管理会社が廃業・倒産などで不在となった場合、設置されたソーラーパネルや架台は放置されるリスクが有る。
その他の課題
ウイグル自治区と強制労働疑惑
- 太陽光パネルの主要原料は ポリシリコン(高純度シリコン)。
- 世界のポリシリコン生産の約40〜50%が新疆ウイグル自治区で行われています。
- 複数の国際人権団体や報道により、同地域の工場でウイグル人など少数民族に対する強制労働が行われている疑いが指摘されています。
サプライチェーンの透明性不足
- 太陽光パネルの製造は「ポリシリコン → インゴット → ウエハー → セル → モジュール」と多段階。
- 中国企業はこの工程の大半を支配しており、世界の太陽光サプライチェーンに深く組み込まれています。
- そのため「最終製品が人権侵害に関与していない」と証明するのが極めて難しい状況です。
日本では2022年以降「人権デューデリジェンス」ガイドラインを策定。輸入禁止までは踏み込んでいないが、企業に自主的な調査・開示を求めている段階。太陽光発電は「脱炭素・環境正義」を目的としますが、その製造過程が人権侵害に依存している可能性がある点は大きな矛盾です。
まとめ
ソーラー発電はCO2排出削減には多大な効果を生み出す反面、自然環境には数値として表せないリスクが多大。つまり「脱炭素に優しいが、自然環境や人権には優しくない」エネルギーになりかねない。この状況を打開する為には、自然環境を破壊して設置するメガソーラー依存を脱却し、電力需要の大きい工業地域や都市部での発電が期待される、ペロブスカイト太陽光パネルの国内大量生産の早期実現に期待する。ただし工業地域や都市部のヒートアイランド現象による、気象災害に結び付かないよう、対策を十分講じた上で普及を進めなければならないと考える。