気象の激甚化と損害保険

リサエネおじさんのつぶやき

いま起きている値上げの真相と、これからの保険のあり方

2026年夏も、各地で大規模な地震や豪雨が発生し、甚大な被害をもたらしました。令和8年熊本地震、千葉県豪雨で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

この後も秋にかけて、大型台風の影響や不安定な天気での風雨についても要注意。

被災された皆様の住まいや水没したお車の再建において、損害保険(火災保険・車両保険)が家計を支える大きな命綱となっている一方、多くの方が懸念されているのが「度重なる災害による保険料の度重なる値上げ」です。

なぜ今、これほど保険料が上がり続けているのか。そして、誰もが安心して加入し続けられる保険制度を守るために何が必要なのかを分かりやすく解説します。

※保険の補償対象についての詳細は各自この機会にご確認してください。

1. 火災保険だけでなく「自動車保険」も急値上げの時代へ

「保険料が上がった」と感じている方は多いはずです。実は、建物の火災保険だけでなく、自動車の「一般車両保険」の価格も急上昇しています。

  • 火災保険の改定:最長36年契約できた時代から、現在は最長5年へ短縮。2024年の改定では水災リスクに応じて全国を5段階の地域に分ける「地域別料率」が導入されました。「気候変動により長期の変化が想定できない(過去のデータがあてにならない)」
  • 自動車保険の改定:2026年6月には、保険料の目安となる参考純率が過去最大級(平均+14.4%)の引き上げとなりました。

2. なぜ保険料は上がり続けるのか?3つの構造原因

値上げの背景には、単なる「自然災害の多発」にとどまらない構造的な理由があります。

  1. 気候激甚化と車の被害急増 猛烈なゲリラ豪雨や線状降水帯による冠水で、一度に数千台規模の車が水没・全損となる事態が常態化しています。また不安定な天気により発達した積乱雲が起こす、雹、竜巻、突風、による被害が増加傾向にある
  2. 車のハイテク化による「1件あたりの修理費」高騰 最近の車はバンパー内部に自動ブレーキ用のセンサーやカメラが凝縮されています。軽微な損傷でも校正作業(キャリブレーション)が必要となり、修理費用が従来の数倍規模へ跳ね上がっています。
  3. 予測不能な将来リスク 地球温暖化により過去の統計データが通用しなくなり、保険会社もリスクを抑えるため長期契約を廃止し、こまめな値上げを行わざるを得なくなっています。

3. 「真面目な人が損をしない」仕組みづくりへ

自然災害のリスクが高まるからといって、無制限に保険料が上がり続ければ、「車に乗りたくても任意保険に入れない」保険難民を生み出しかねません。

そこで重要なのが、リスクをより細分化し、「危険を防ぐ努力をしている人や、悪質なリスクを排除した制度」へと進化させることです。

  • 悪質運転の排除と「逃げ得」のシャットアウト 飲酒運転や薬物使用、当て逃げなどの悪質運転による事故は、誠実なドライバーの保険料を押し上げる原因になります。悪質なケースでは加害者本人への徹底した求償(追及)を行い、真面目な加入者の負担が増えない仕組みを強化する必要があります。
  • 保管環境や「防災行動」に応じた割引の導入 「強固なガレージに保管している」「水害警報が出た際に高台へ車を避難させた」といった防災行動をテクノロジー(位置情報やIoT)で評価し、リスクを下げた分だけ保険料を安くする仕組みが期待されています。

おわりに:持続可能な「相互扶助」を目指して

保険の本質は「みんなで資金を出し合って、困った人を助け合う(相互扶助)」ことです。

地球温暖化に伴う「適応策」として、防災インフラの整備だけでなく、損害保険制度そのものも「リスクに応じた公平な負担」へとアップデートしていく時期を迎えています。

また、気候変動による気象現象の激甚化は、全国に張り巡らされた道路網、鉄道網、電気、ガス、水道等のインフラ網の老朽化に大きな被害をもたらします。これらの多くは損害保険会社ではなく、行政負担で修復が必要。結果的に増税に繋がる事を頭に入れておかなければなりません。「インフラの老朽化と未来へのシフト」https://risaene.co.jp/aging-infrastructure-and-the-shift-to-the-future/をご参考に。

今後も地域の気候変動適応と安心な暮らしの両立に向けて、引き続き提言を行ってまいります。

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