〜年間16万トンの薬剤が土に還る国で、私たちができること〜
雑草は「厄介者」なのだろうか?
暖かくなり、庭や道端の草木が勢いよく伸びる季節になりました。「虫が出るから」「見栄えが悪いから」と、除草剤を撒いたり防草シートで覆ったりするのが当たり前になっています。
しかし、私たちは大切なことを忘れていないでしょうか。彼らは光合成によって、私たちが生きるために不可欠な**「酸素」を生み出し、温暖化の原因となる「二酸化炭素」**を黙々と吸収してくれている存在だということを。
数字で見る、日本の「除草剤」のいま
日本国内で、一年間にどれくらいの除草剤が販売されているかご存知でしょうか? 農林水産省の統計によると、その量は年間約16万トン(液量・重量合計)にものぼります。
これを私たちの身近な尺度に例えると……
- 500mlペットボトルに換算すると、年間約3億2,000万本分!
- 国民一人あたり、毎年ペットボトル約2.5本分の除草剤が日本の土に撒かれている計算になります。
これほど大量の薬剤が、私たちの足元から環境へと流れ出しているのです。
1. 除草剤が「土の命」を止めてしまう
除草剤は、目に見える草を枯らすだけではありません。土の中には、1グラムに数億という目に見えない「微生物」たちが住んでいます。彼らは枯れ葉や虫の死骸を分解し、豊かな土(栄養)へと変える、いわば土壌の掃除屋さんであり、料理人です。
多くの除草剤は、この微生物たちの活動も止めてしまいます。菌がいなくなった土はカチカチに固まり、水を蓄える力を失い、自浄作用のない「死んだ土」になってしまいます。
2. 「永遠の化学物質」PFASと、つながる海
最近ニュースで耳にする「PFAS(ピーファス)」という言葉。実は一部の除草剤には、このPFASの仲間や、分解される過程でPFASを発生させる物質が含まれています。
これらは「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解されにくく、雨によって土から川へ、そして海へと流れ出します。
海にたどり着いた成分は、プランクトンや魚の体内に蓄積され、最終的にはそれを食べる私たちの食卓に戻ってくるかもしれません。「庭先で撒いた薬が、巡り巡って海や魚を傷つけている」――すべての水はつながっているのです。
3. 化石燃料で作り、吸炭素を止めるという矛盾
もう一つ知っていただきたいのが、エネルギーの話です。
化学除草剤の多くは、石油や天然ガスなどの化石燃料を原料とし、製造時にも膨大なエネルギーを使って作られます。
「化石燃料を使って CO2 を出しながら作った薬で、 CO2を吸収してくれる植物を枯らしている」
これこそ、今の社会が抱える大きな矛盾ではないでしょうか。脱炭素(カーボンニュートラル)を目指す上で、植物の力を借りることは最も自然で強力な解決策のはずです。
排除から「共生」の管理へ
もちろん、すべての草を放置するわけにはいきません。しかし、これからは「根絶やしにする」のではなく、「うまく付き合う」視点が大切です。
- 「草生栽培」:あえて一部の草を残し、土の乾燥や温度上昇(ヒートアイランド現象)を防ぐ。
- 「マルチング」:刈った草を土に被せ、堆肥として循環させる。
- 「バイオマス」: 近くにバイオマスメタン発酵施設が有れば、大いに利用して欲しいです。
「みどりの日」をきっかけに、足元の緑が果たしてくれている偉大な役割に感謝し、安易に薬に頼らない、新しい「緑との付き合い方」を一緒に考えてみませんか?
株式会社リサエネ
私たちは、エネルギーの効率化だけでなく、地球本来の循環を取り戻すコンサルティングを目指しています。

