9月の台風

気象オタク

2023年9月25日現在9月の台風発生件数は9月5日(13号)の一個だけ。このまま9月中に発生が無ければ、1951年以来最少記録となる。

過去2個は3回

1951年1973年1983年にそれぞれ2個と記録が有る。1951年の10月9日に発生した台風は12日924hPaと発達し14日935 hPaで鹿児島に上陸。九州から中国地方を通り北陸東北へ進み、三陸沖で温帯低気圧となる。全国で943人の死者・行方不明者となる。1973年10月2日フィリピン南東海上で発生、最盛期875hPaの猛烈な台風となりフィリピン北東部をかすめ台湾の南から華南地方に至り10月10日消滅。1983年は9月20日にグアム島周辺で発生し最盛期885hPaと猛烈な台風となり南西諸島から東シナ海を北上して長崎県西部に上陸し温帯低気圧となる。大量の湿った空気をもたらし秋雨前線を刺激し、岐阜県と愛知県流域の木曽川が氾濫。美濃加茂市や坂祝町で290棟の浸水があった。全国で死者・行方不明44人、負傷118人、住家の全半壊640棟、住家の床上浸水・床下浸水5万6267棟、耕地の流失・埋没・冠水5651ha、農林水産業の被害額は805億円に上った。

警戒したい秋の台風

発生件数が少ないが故に、海水温の上昇で台風にエネルギーを供給し続けるため勢力が拡大する傾向にある。今年も同じように9月5日以来台風の発生がない。恐らく今後一週間位にはグアム島の西で14号として発生しそうだが、勢力の大きな台風に発達する可能性が高い。日本に上陸また接近すれば大きな被害となる可能性がある。日本近海まで海水温が高い為、勢力が衰えず接近、上陸の可能性がある。秋雨前線を刺激し大雨となる可能性がある。

前線を刺激とは

前述でも秋雨前線を刺激し大雨となる可能性があると報道機関は説明するが、具体的にどのような状況になるのか解説。そもそも前線とは、上空の寒気団と下方の暖気団がせめぎ合う場所で、湿った暖気が寒気とぶつかることにより、水滴(雲)となる。ここに反時計回りの台風が接近すると、台風の東側に南から大量に水分を含んだ温かい空気が流れ込み上空の寒気の下に潜り込む為、積乱雲が発達し短時間に激しい雨をもたらす。台風の東側で中心から離れた場所で南風が緩やかな方が、長時間豪雨にみまわれる事が有る。この秋の台風と秋雨前線の動きには注意が必要。

10月の台風

夏の台風は「迷走台風」と言われ、西日本まで張り出した太平洋高気圧に行く手を遮られ、同じ場所で停滞したり、動いてもゆっくりになったり、正に迷走するのですが、秋の台風は太平洋高気圧が勢力を弱め、南東に退いた縁をなぞるように日本付近まで北上し、蛇行する偏西風に乗り一気にスピードを上げて北東方面に走り抜ける。その際に気を付けなければならないのが、台風本体の風+北上する速度で南風が猛烈に吹く事が多い。リンゴ台風とか言われ青森などのリンゴに甚大な被害をもたらす事がある。最近の気候変動の影響で台風が接近することにより、寒暖の差が激しくなり、突風や竜巻に特に注意が必要な時期が10月である。

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