コンクリートで固めた半世紀の教訓

リサエネおじさんのつぶやき

これからの日本がめざす「自然と賢く付き合う暮らし

1. 「良かれと思ってやったこと」が直面している壁

約50年前、日本は「日本列島改造」の大きな波に乗り、全国に道路網や鉄道網を敷き、川には水利ダム、砂防ダムを造り、海には巨大な防波堤を建て、街や公園にはたくさんの木を植えました。

これらはすべて、当時の人々が「生活を便利にしたい」「災害から暮らしを守りたい」と願った「善意の投資」でした。

しかし今、50年が経ち、それらの構造物や木々が一斉に古くなっています(老朽化)。 さらに、近年の地球温暖化による豪雨や超大型台風などの猛烈な気象を前に、「人間の力で自然を完璧に抑え込むことの限界」が見えてきました。

2. 人間が自然をせき止めたことで起きた「想定外のこと」

自然のしくみを力づくで止めようとした結果、かえって別の問題が広がっています。

  • 砂浜が消えていく海 大雨のたびに山から川を通って海へ運ばれていた「砂」を、ダムや川の工事で止めてしまいました。その結果、海に砂が届かなくなり、温暖化による海面アップも重なって、全国で砂浜が削られ海水浴場が閉鎖に追い込まれています。
  • 街を襲う「昭和の木」 昔、街を豊かにするために植えられた街路樹などが、人間でいう「お年寄り」になり、幹の中がスカスカになっています。強風で倒れ、停電や道路の通行止めといった二次災害を起こしています。
  • 山奥のインフラ維持の限界 人が数世帯しか住んでいない山奥の道路や水道も、被災するたびに何億円もかけて直しています。しかし、税金や人手が足りないこれからの時代、すべてを元通りにし続けるのは難しくなっています。

3. これからの知恵:「昔に戻る」のではなく「自然の力を賢く使う」

「便利で快適な生活をあきらめて昔の不便な暮らしに戻る」必要はありません。 これからは、新しい技術を使いながら、自然の力(重力や水の流れ)に逆らわず、賢くお付き合いする時代です。

具体的には、次のような「方向転換」が必要です。

① 危険な場所からは「起こる前」に引く(安全な街への引っ越し)

災害が起きてから大金を使って救助や復旧をするのではなく、災害が起きる「前」に行政が土地を買い取り、安全な平地への引っ越しを応援します。これにより、命を守りながら、将来の無駄な復旧費用を減らせます。自然災害による税金の使い方を「不安定」から「安定・計画的」にすること。

② 川底にたまった砂を「海の防壁」に変える

山から川へ流れてきた砂(土砂)を川底からすくい上げ(浚渫:しゅんせつ)、将来の海面上昇や高潮のリスクがある沿岸部へ運んで「土地の底上げ」に使います。 コンクリートだけに頼らず、砂の力で波を受け止める自然なガードレール(防波堤)をつくります。(ただし、大地震の際の流砂現象の対策必至)

③ 地元の建設・土木産業の仕事を守る

「鉄骨・鉄筋コンクリート工事を減らす=土木業者の仕事がなくなる」ではありません。 これからは「新しく造る」仕事から、「砂をすくい(浚渫)、運び、安全な土地をつくり直す」という「自然の力を利用した資源をぐるぐる回す土木」へシフトします。地元の建設業の技術や雇用を守りながら、環境に優しい国づくりが進められます。

④ 街の木を「予防」し、最後はエネルギーにする

街の危険な木は、ドローンなどの最新技術を使って倒れる前に発見して計画的に切り、新しい倒れにくい木に植え替えます。切った木は捨てずに、薪や燃料(バイオマス燃料)炭化、家具などに徹底的に使い切ります。

おわりに:自然の前に一歩引く「しなやかな強さ」へ

これまでは「自然を鉄骨・鉄筋コンクリートで抑え込む」ことが日本の強さでした。

しかしこれからは、「退くべきところは一歩退き、自然(土砂崩れ、土石流等)が運んでくれる砂や木などの恵みを人間の技術で賢く使い回す」ことこそが、最も賢く、持続可能な(サステナブルな)社会のあり方です。

自然を敵にするのではなく、地球の大きなサイクル(侵食・風化)と調和しながら、次の世代へ安全で豊かな日本(地球)を引き継いでいきましょう。

結果的に「温室効果ガス削減」「脱炭素社会の実現」に繋がるのでは。

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